研究活動報告

コミュニティの取り組みの実態把握

サステナブル・コミュニティ研究会は、マンション管理組合のコミュニティに対する関心度やコミュニティの成熟度、コミュニティにまつわる課題意識を明らかにし、今後のマンション開発および管理運営に有益な示唆を得るため、三井不動産グループにて管理を行なっている関東エリアのマンション約1,600棟の管理組合を対象として、「マンション・コミュニティに関するアンケート調査」を実施しました(調査期間2013年11月~2014年1月、回答数691棟)。

本調査を通じて、マンション・コミュニティ形成に関わる仕組みや活動の実態、課題意識など様々な状況が明らかになりました。その調査結果について以下にご紹介します。

「マンション・コミュニティに関するアンケート調査」調査概要

調査方法
  • 各住棟の管理組合ポストに1部ずつ投函
  • 管理組合の理事長、または、マンション全体の状況を把握している任意の一人が回答
  • アンケート用紙を返信用封筒にて返送、またはインターネット上の WEB フォームにて回答
調査対象者 管理組合理事長、または、マンション全体の状況を把握している居住者
調査時期 2013年11月下旬(配布) ~ 2014年1月10日(回収〆切)
調査実施機関 株式会社さとゆめ
(協力:立教大学大学院 経済学研究科 田島研究室 猪股有佐)
サンプル数 配布数:1599棟 回収数:691棟 回収率:43.2%(2014年1月21日時点)
  • マンション・コミュニティの現状
  • マンション・コミュニティの評価と課題
  • 調査結果への考察

マンション・コミュニティの現状

コミュニティ形成への取り組み方

マンションの管理組合として「マンション内のコミュニティ形成」についてどのような対応をしているかを聞いたところ、「特に活動していない」との回答が 60%以上にのぼり、「総会・理事会等で審議・協議」しているとの回答は29%となりました。コミュニティ形成について、大半のマンション管理組合で主だった活動はなされていないようです。

マンション内の自治組織

マンション内の管理組合以外の自治組織の有無についてたずねたところ、70%が「管理組合しかない」と回答、「居住者を対象とした自治会・町会が別にある」との回答は30%弱となりました。

マンション内で開催されている行事

マンション・コミュニティ内で開催されている行事について、行事を実施したことのある約40%のうち「年1回」「年2~5回」との回答が合わせて約3割となりました。

実施している行事の内容については、「清掃・美化・資源回収」が最も多く(28%)次いで「祭り」(27%)「懇親会」(26%)となりました。

マンション内のサークル活動

マンション・コミュニティ内にて行なわれているサークル活動の有無について、「ある」との回答は10%弱となりました。

またサークル活動の種類については、「趣味・娯楽」が最も多く(45%)、次いで「スポーツ」(29%)「文化・芸術」「子供会」(各23%)となりました。

マンションの外との連携・交流

マンション周辺地域で行なわれている行事への参加状況について、「管理組合や居住者単位で参加している」との回答は合計約40%となりました。

一方、マンション・コミュニティで行なわれているイベントへの外部参加者の受け入れについて、「受け入れたことがある」との回答は5%にとどまりました。

防災の取り組み

マンション・コミュニティで行なっている防災活動については、「防災訓練の実施」が最も多く(41%)、次いで「災害対応マニュアルの作成・配布」(27%)、「非常用食料・備品の備蓄」(22%)となりました。

今後実施したい活動について聞いたところ、「災害対応マニュアルの作成・配布」(25%)、次いで「災害発生時の居住者の安否確認体制の整備」が大きく上昇し24%となりました。

また周辺地域と連携している防災活動については、「特にない」との回答が72%にのぼりました。

コミュニティ内の情報収集・表札掲示

マンション・コミュニティ内での情報収集の仕組みについて、「居住者へのアンケート実施」が最も多く(36%)、次いで「意見ポスト・ご意見箱設置」(24%)が続きました。「特にない」との回答は約5割となりました。

表札を掲げている住戸の数について「多く/ほとんどの住戸で掲げている」との回答が約3分の2となりました。

マンション・コミュニティの評価と課題

マンション・コミュニティの自己評価

自己のマンションのコミュニティ形成の状況について、約10%が「とても良好」、約60%が「おおむね良好」との回答がありました。一方、「良好とはいえない」との回答も6%見受けられました。

とても良好・おおむね良好
  • 理事会などでの意見が活発。
  • イベント・行事への参加も積極的。
  • 多少のトラブルはあるが住民間では交流があり、ほとんどの人が挨拶するなどしている。
  • 懇親会や回覧板を通じて名前が分かり挨拶ができている。
  • 問題が発生したらその都度解決するようにしている。
良好とはいえない
  • お互い興味を示さない。
  • 参加意識の欠如、協調性が足りない。
  • 各戸住民、自分勝手が多い。
  • マンション敷地内に集まれる室内敷地がない。
  • 隣の住民と関わりがない。
  • 共助の関係はほとんどできていない。自助にも不安。

※自由回答抜粋

マンション・コミュニティの自己評価

マンションの管理運営上課題として認識している点について、「区分所有者の高齢化」(31%)が最も高く、次いで「管理組合活動に無関心な区分所有者の増加」「修繕積立金の不足」(各24%)が続きました。コミュニティ形成に関連する項目としては「ルールを守らない居住者の増加」(21%)や「居住者間トラブル」(11%)等の回答がありました。

コミュニティ形成にまつわる課題認識

コミュニティ形成の場のイベント行事参加者は毎回決まった少数の顔ぶれで、その他の人をどのような形を採れば興味を持ってもらえるかが今後の課題。

昔はお互いに挨拶し合っていたが、最近は新しい人が引越し先に挨拶しないこともあり、顔見知りの人でない人同士挨拶しなくなってきているのが心配。

仲良くしたいという機運はあるが,具体的な方法が分からないという段階。小さい子どもを媒介とした行き来はあるようだ。

3年間理事長をして大規模修繕などを経験したが、コミュニティがないためにうまく合意形成ができず暗澹とした気持ちになった。

※アンケート全体に係る自由回答より自由回答抜粋。

調査結果サマリー

1. マンション・コミュニティの現状について

  • コミュニティ形成に関してのマンション内の活動:「特にない」が約60%
  • マンション内で開催されている行事:「年1回程度」「2~5回」が約30%
  • マンションで取り組んでいる防災活動:「防災訓練」実施は約40%

2. マンション・コミュニティの自己評価について

  • 約70%が「良好」、「良好とはいえない」は6%

3. マンション・コミュニティの課題認識について

  • 「区分所有者高齢化」が約30%、「ルールを守らない居住者増加」も約20%

調査結果への考察

コミュニティ形成に向けた取り組みは少数派にとどまる

  • 今回の調査からはマンション内でのコミュニティ形成に向けた活動や仕組みがまだ多くはない状況が明らかになりました。
  • 「コミュニティ形成への取り組み方」では「特に活動していない」との回答が 60%を超え、「コミュニティ内の情報収集」では約半数のマンションで情報収集の仕組みが「特にない」との回答でした。「マンション内で開催されている行事」でも年一回以上のペースで催しが行なわれているとの回答は約 30%程度にとどまりました。
  • 全体的に見て、マンション内のコミュニティ形成はまだ一般的なものとしては根付いてはいないようです。

一方で、コミュニティ形成へのニーズの声も

  • その一方で、マンションのコミュニティ形成についての問題意識が窺える回答も見受けられます。
  • 「マンション・コミュニティの自己評価」を見ると、「良好とはいえない」との回答が 6%あり、自由回答では住民の協調性のなさ、関心の薄さ、関わりの薄さへの懸念の声が寄せられました。また「マンション管理運営上の課題認識」について見ると、「ルールを守らない居住者の増加」(21%)や「居住者間トラブル」(11%)など、コミュニティにおける人間関係の問題が挙げられました。
  • 決して多くはありませんが、そこには良好なコミュニティ形成へのニーズが見てとれます。
今後に向けて ~良好なコミュニティ形成のカギをさぐる~

まだ一般的ではないが、悩みのタネにもなっている「コミュニティ形成」。 良好なコミュニティが形成できているマンションとそうではないマンションとの違いはどこにあるのか。コミュニティ形成に向けた効果的な活動のポイントはどこにあるのか。これらが明らかになることで、居住者にとってさらに暮らしやすく、価値を感じられるマンションの開発や管理運営に向けた手掛かりが得られると期待できます。コミュニティ形成について、探求の余地はまだまだ大きいと考えています。 当研究会では、アンケート結果の精査や個別事例の掘り下げなどを通じ、引き続き研究を重ね、情報発信を行なってまいります。