MIRAI MANSION MEETING マンションの価値や可能性はコミュニティにあるのではないでしょうか? MIRAI MANSION MEETING REPORT

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  • ミライ・マンション・ミーティング SESSION3 詳細レポート
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2014年11月26日、未来のマンションの在り方を探るイベント「ミライ×マンション×ミーティング」が、日本橋三井ホールにて開催されました。本イベントでは、2つのトークセッションと参加型のワークショップを実施。ここでは、各セッションの様子を詳しくお伝えしていきます。

18:30 OPENING

印象的なムービーを皮切りに、まずはじめに、詩人・三角みづ紀さんによるマンションをテーマにした詩の朗読が行われました。詩のタイトルは「やさしい窓たち」。「やさしい窓はいつでも待っている」という詩の一節を最後に、イベントがはじまりました。

やさしい窓たち

18:35 SESSION 1 未来の都市をマンションから考える

最初のセッションでは、「未来の都市をマンションから考える」というテーマを掲げ、建築家の藤村龍至氏が登場。藤村氏は、建築設計やその教育、批評に加え、都市設計や日本の将来像への提言など、広く社会に開かれたプロジェクトを展開する、新進気鋭の建築家です。


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藤村氏の講演では、「コミュニティの育て方」を観点に、いくつかのマンション・プロジェクトを例に挙げました。最初に挙げたのが、東京・板橋区にある「サンシティ」です。ここは、1970年代に三井不動産が手がけた大規模な開発プロジェクトで、敷地内に大きな森を擁するマンションです。公園や小学校などが隣接し、敷地面積約125,000㎡、総戸数1872戸(14棟)という規模なので、まるでひとつの街のようなコミュニティを形成しています。藤村氏はサンシティを「三井不動産にとって記念碑的なプロジェクト」と位置づけて紹介。実際に現地を訪れた藤村氏が特に感銘を受けたのは、敷地内のカルチャールームだったといいます。


  • ショートバージョン(4分)

  • ロングバージョン(15分)
MIRAI MANSION MEETINGで上映された、サンシティの映像
  • 藤村氏
  • 公園や小学校などが 隣接し、総戸数1872戸(14棟)という規模なので、まるでひとつの街のようなコミュニティを形成しています。三井不動産にとって記念碑的なプロジェクトと言えるでしょう。特に、敷地内のカルチャールームがあり、住民が自主的に道具をそろえたりしながら、大切に使っておられる様子に感銘を受けました。

次に藤村氏が取り上げたのが、2014年3月に竣工した、東京・江東区の「パークタワー東雲」です。ここは、三井不動産レジデンシャルが手がけたタワー型マンション。サンシティとは対照的な、高密度なマンションですが、ここにも、特徴的な“共有スペース”がありました。

  • 藤村氏
  • 階ごとに“ソラプラザ”という名前の共有場所が設けられているのですが、このスペースは災害時の拠点としての役割を果たします。また、最上階にはラウンジがあり、非常に豪華ですが、ソファなどが設置されているため、住民同士で話がしやすいような工夫がなされています。その他にドッグランや展示ケースのあるギャラリー、ゲストのための宿泊施設など、多くの共有スペースが見られました。良質なコミュニティを形成するために、さまざまな仕掛けが設けられていると感じます

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最後に、藤村氏が取り組んでいる「鶴ヶ島プロジェクト」についての話となりました。鶴ヶ島というのは、埼玉県の人口7万人の都市。1960年代に住宅地が広がり、それに合わせて矢継ぎ早に建設された小学校や公民館が、現在、軒並み老朽化しているという課題を抱えています。この課題に自治体と住民の二者だけではなく、鶴ヶ島にキャンパスがある東洋大学が第三者という立場で入り、“行政の公開情報を元に、学生が公民館や小学校の設計をする”という取り組みをはじめました。最初はおぼろげだったイメージが、住民とのワークショップを重ねていくうちに理解が深まり、建設的な意見交換が行われるようになったといいます。

  • 藤村氏
  • 現代の公共建築物ではコミュニティの変化を汲み取りながら、組み立て直すという作業が必要です。“建築をつくる”ということの、今日的意味を問いなおすプロジェクトとなりました


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セッション1の後半では、三井不動産レジデンシャルの藤林清隆社長、三井不動産レジデンシャルサービスの岩田龍郎社長が登壇し、藤村氏との三者によるトークセッションが行われました。

  • 藤林氏
  • サンシティのコンセプトは『東京人の新しいふるさとをつくろう』ということでした。ふるさとといえば、“緑”ということで、それならば“森”をつくろうということになりました。さらに、みんなが集まれる広場も必要だろうという考えから、森を中心に自然と集まることができるような囲み型の配置となりました

  • 岩田氏
  • サンシティのコミュニティのきっかけは、植樹祭だったのではないかと思います。住民の方が自分の手で木を植えることで、この森を自分たちで育てるという思いが、一人ひとりの心の中に芽生えたのではないかと思います

植樹された木の数は約5万本。「サンシティ」には、現在、森の管理を行うグリーンボランティアの方々が約90名いらっしゃいます。敷地内ではしいたけの栽培も行われ、栽培が終わった木はウッドチップに加工しているとのこと。そういった作業はすべてボランティアの手によって行われているとのこと。豊かな森があることによって、これを共有し、財産として分かち合う活動の中で、さらにコミュニティが育まれていく――理想的な循環型コミュニティの形が、そこにはありました。

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トークセッション後半では、未来のマンション・コミュニティのための課題について、話がおよびました。

  • 藤林氏
  • マンションというのは、いろんな価値観を持った方々がお住まいになっています。コミュニティに積極的に関与していきたい人もいれば、一歩引いた形で暮らしていきたいというお考えの方もいらっしゃる。そうした、いろんな考え方を持つみなさんを、全員受け容れていけるようなコミュニティを醸成していきたいと思います。コミュニティがちゃんとしているマンションは、資産価値も高いんですね。また、災害、有事の際も、しっかりとしたコミュニティがあることが大きな安心につながっていきます

  • 岩田氏
  • 『住まい』というのはハードだけじゃなくて、『暮らし』というソフトをどれだけ提供できるかということでもあります。『暮らし』というのは、住まいに対する愛着の積み重ねだと思います。それをどういう形でみなさんに感じてもらえるようにするのか……我々もさらに、いろいろな仕掛けを考えていきたいと思っています。そして、コミュニティの動きがみなさんにわかりやすく見えるように、『見える化』をしていきたいと思っています

19:45 SESSION 2 マンションの新しい捉え方

次のセッションで登場したのは、ena AMICE代表・蛯原英里氏、チームラボ代表・猪子寿之氏、issue+design代表・筧雄輔氏の3名です。ここに、モデレーターとして三井不動産の川路武氏が加わって、台本なしの自由なトークセッションがはじまりました。テーマは「マンションの新しい捉え方」です。


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まず最初に話し合われたのは、実際にマンションに住んでいる蛯原さんの悩みについて。生後3ヶ月のお子さんがいる蛯原氏は、「娘がもう少し大きくなったら、マンション内のママ友コミュニティに入ってみたいんですが、入っていけるかどうか不安です。どのタイミングで入ればいいかわからない……」といいます。

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その悩みに対し、筧氏は、近隣の方とのコミュニケーションを取りやすいツールを紹介。このツールは、筧氏が考案したドアノブに引っ掛けるタイプの伝言メモで、表情豊かなデザインが施されています。メッセージを書き込めるスペースがあり、それに対して返事も書き込めるようなスペースも用意されています。たとえば、週末に誕生パーティーが予定されていたら、「子供の誕生日会で少しうるさくなるかもしれません。すみません!」と先にツールを利用して謝りながら伝えておけば、お隣の理解も深まり、トラブルを未然に防ぐことができるというわけです。こうしたツールを上手に使うなどしてお隣さんとの良い関係性を少しずつつくりながら、「そこからママ友コミュニティに広げるのはどうか」という話になりました。

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続いて、猪子氏の発言をきっかけに、話は大きく広がってきました。

  • 猪子氏
  • 人間はもともと集団で子育てを行ってきた生き物ですよね。現代では、両親が孤独に責任を持って育てなくてはいけないということになっているのが、そもそも問題ではないでしょうか。本当はもう少し集団で育てるようにしないと、母親の孤独な子育て問題は解決しないですよね

蛯原さんは、自身が育った田舎での体験を話してくれました。

  • 蛯原氏
  • 自分自身は、お隣のおじいちゃんと交流があって、あたたかい記憶がたくさんあります。娘にも同じようにあたたかい思い出をつくってあげたいのですが、都市部のマンションではご近所のシニアの方とあまり接点がなくて……

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ママ友との交流はもちろん、シニア世代との交流のきっかけをつくることによって、孤独な子育てが解消できることはたくさんあるのではないかという話に。

  • 筧氏
  • お母さんは子どもが生まれた瞬間、これまで所属していたコミュニティと分断されてしまいます。お父さんは会社というコミュニティに所属していますが、子育て中のお母さんは移動が簡単にできずに、コミュニティ弱者になってしまいがちです

  • 猪子氏
  • 人々の住まいを、もっと流動的にしてもいいですよね。“子育て専用マンション”など、子どもが生まれた人が集まるコミュニティをつくってしまうのもいいのではないでしょうか。そういう場所ができたら、もっと親は肩の力を抜いて子育てできますよね

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さらには、子どものおもちゃや洋服、ベビーカーなど使えなくなったグッズを“お下がり”という形でコミュニティの中でやりとりすることや、同じ場所を共有することでの感情の共有についてなど、さまざまな方向に話が発展しました。

20:40 SESSION 3 ミライ・マンション・ミーティング

最後のセッションは、会場のみなさんが主役となりました。通常、こういったイベントでは、椅子が横並びに並んでいるのが普通ですが、本イベントでは、各テーブルに数人ずつ座るような配置に。各テーブルには「●丁目●番地」という座席指定が表示されており、来場者は、受付で指定された座席にしたがってテーブルに座っています。各テーブルは仮想のマンションの理事会という設定です。
テーブルに同席した全員で「未来のマンション」について語り合い、その成果を大きな紙に記入するという課題が与えられました。テーブルの同席者は、すべてこの会場で初めて会った人同士。自己紹介をしながら、セッション1 、2を経て考えさせられたことなど、思いついたことを手元の用紙に記入しつつ、ざっくばらんに話し合っていきます。


筆者のテーブルでは、20代のふたりの男性が、現在、シェアハウスに住んでいるとのことで、その話で盛り上がりました。家族を持つ男性たちからはシェアハウスのメリットやデメリットについて質問が投げかけられ、逆にシェアハウスに住む独身男性からは「父親の書斎の有無についてどう思うか」といった問いかけがありました。そうしたやりとりの中で、世代や家族形態の違いひとつで、住まい方についてはさまざまな意見があることが浮き彫りに。

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その後、付箋やマーカーを上手に使いながら、「私たちのワクワクするマンションは……」に続く、空白部分をみんなで記入していきました。

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会場では、「乳牛を飼って、みんなで牛乳をシェアする」「日本中のマンションを自由に引っ越せる権利を買いたい」など、独創的で面白い意見がたくさん飛び出していました。

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東京23区の総世帯数の約半分が、マンションに住んでいるという時代。マンションの未来を考えることは、私たち自身の今後の生活スタイルはもちろん、未来の都市の姿を考えることに他なりません。本イベントでは、楽しみながら、自分たちの所属するコミュニティや日々の暮らしを振り返る、さまざまなきっかけが散りばめられていました。


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エンディングでは、会場全体で記念撮影も! 和やかな雰囲気で、会場はお開きとなりました。


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